はじめに:オルレってなに?うまいのそれ?
最近、耳にする機会が増えてきた「オルレ」。最初に聞いたときは、「それ、韓国の料理?辛いやつ?」と勘違いした人も少なくないはず。かくいう私も、最初は「オルレ?コルレ?いや、それチャーシュー乗せる系のラーメン?」と思った口である。
だが、オルレとは**「韓国・済州島発祥の、ゆるやかな自然歩道を楽しむハイキングコース」**のこと。日本では九州を中心に広まり、ついに東北にも進出。そして我が宮城県、そう、あの日本三景・松島にまでその波がやってきたのである。
そんなわけで、今回は「松島オルレ」の魅力を余すことなくお届けしよう。汗と海風と、少しの筋肉痛をともに味わっていただきたい。
出発前:山じゃなくて「オルレ」って、なんかオシャレ
今回の行き先は「奥松島オルレ」。聞くだけで“通”っぽい響きである。定番の山登りに飽きてきた我がトレッキングクラブの面々は、「今回は一味違うぞ」と鼻息荒く、山じゃなくて“オルレ”をチョイス。
仙台からのドライブコースは野蒜(のびる)海岸を通る。名前からして栄養ありそうなこの地は、東松島市の海沿いにある静かなスポット。左手に美しい砂浜を見ながら車を走らせる時間は、もうすでに癒しタイム。
目指すは「第2駐車場」。駐車場の看板が出てくると、「あ、ここが“オルレ玄関口”か」とテンションも上がる。しかも無料で空いている。財布にもやさしい、これぞまさに“ゆるハイク”の醍醐味だ。
歩き始め:気温5℃、心はポカポカ

到着したときの気温はまさかの5℃。まるで北海道の5月かと思ったが、そこは宮城。まだまだ春は準備中らしい。慌てて手袋を取り出すが、歩き始めてすぐに体はポカポカ、というよりジワジワ汗ばむ。道中はゆるやかなアップダウンが続き、体にちょうどいい刺激。登山靴でなくても歩けるが、スニーカーではちょっと心細い。とにかく足元だけは「ガチめ推奨」である。
縄文時代の遺跡もあり里浜貝塚では資料館あり、縄文時代の地層から出てきた矢じりや墓が展示されていて歴史の文化にも触れることができた。
五感フル稼働:磯の香りと花の香りのダブルパンチ

松島オルレ最大の魅力、それは「海と山の香りのブレンド」だ。海岸沿いでは、磯の香りとともに岩のりのにおいが漂う。急に“おにぎりに巻いてくれ”と頼まれた気分になる。ところが少し内陸へ進むと、今度は梅や椿の花の甘い香りが鼻腔をくすぐる。この香りのスイッチングがとにかく楽しい。「あ、ここは潮!」「今は梅ゾーン!」と、まるで香りのバイキング。鼻だけで松島の春を満喫できる。
ちなみに、このあたりは人も少なく、静かで落ち着いた空気が流れていた。正直、「観光地=人ごみ」と思っていた私は完全に油断していた。これは穴場すぎる。日本三景を“しっとり”味わうには、これ以上の方法はないだろう。
THE 松島体験:「ジス・イズ・ザ・マツシマ」
「静かな松島なんて、あるわけないでしょ?」と思っていたあなた。甘い。いや、むしろ塩味が効いている。
オルレコースを歩いている最中、目に飛び込んでくるのは圧倒的な絶景。松島湾の島々が静かに浮かぶ風景は、「これぞ、ジス・イズ・ザ・マツシマ」である。日本三景の看板に偽りなし。しかも、観光船に乗らずとも楽しめる。歩いて、自分の足で、その絶景を堪能できるのが何より贅沢なのだ。



帰り道で現実へ:人ごみと渋滞のコントラスト
さて、オルレで心と体をリフレッシュした我々一行は、意気揚々と帰路へ。国道45号線を南下し、五大堂や瑞巌寺のある松島の中心部を通ると、そこはもはや「人間万博」。あふれる観光客、渋滞する車列。「ああ、現実ってこういうことだったな」と、静かな感動の余韻は一気に現実に引き戻された。
メンバーの誰かが「コロナ騒ぎもやっと落ち着いたな!」と感慨深げに言う。
けれど、心の中には確かに残っていた。「オルレ、また行こう」そう思える、素朴で心地よい時間だった。
まとめ:オルレは登山じゃない。でも、心が登る。
登山のようで登山じゃない。散歩のようで散歩以上。そんな絶妙な立ち位置の「オルレ」は、これからのアウトドアの新定番になる予感しかしない。
松島オルレは、海も山も香りも絶景も、一度に楽しめる“欲張りコース”。気軽なのに深い、歩けば歩くほど心がほぐれていく。特に、混雑とは無縁の静かな時間を過ごしたい人にはぴったり。
次の休み、あなたもぜひ“ジス・イズ・ザ・マツシマ”を自分の足で歩いて体験してみてはいかがだろうか。
それでは、また次の「ゆるアドベンチャー」でお会いしましょう!